第170章

怒りのあまり気を失ったとでも言うのだろうか?

島宮奈々未と丹羽光世は、完全に呆気に取られていた。

大西茂は意味ありげに二人に視線を送り、からかうように言った。

「次はもう少し静かにしてやれよ。心臓病持ちには、刺激が強すぎるからな」

島宮奈々未は絶句した。

「……」

なんて理不尽な。

部屋では何もしていないというのに。

丹羽光世は大西茂に顎でしゃくった。

「とりあえず、そいつを部屋に運んでくれ」

大西茂は慌てて一歩後退した。

「男女の接触は避けるべきだ。自分で運べよ」

大西茂は三十路を過ぎてもずっと独り身だ。女を作るどころか、女性患者を除けば女の手に触れたことすらない。...

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